恣意的なある断片からみた世界

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ドラマ『僕のいた時間』 ~承認をめぐって~

ただ一つ分かっていることは、僕がどんな状態になっても、僕が愛とぬくもりに包まれているということです。

 

僕は愛とぬくもりだけで生き続けることができるのだろうか。それだけで、僕は生きている意味を感じることが出来るのだろうか。

 


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〇ドラマ『僕のいた時間』

 フジテレビ・共同テレビの制作で2014年1月8日から3月19日まで放送されたテレビドラマ。
 主演は三浦春馬。ALSを発症する主人公と彼を取り巻く人々の生き方を描く。

 

 

〇「人は承認されるだけで生きていけるのか」

「人は承認されるだけで生きていけるのか」、これがテーマだと受け取った。承認欲求という言葉に象徴されるように、人にとって他者からの「承認」とは生を実感する上で大切な要素である。認められたい、愛されたいという欲求は根源的であるように思える。

 

だがしかし、人は“承認される”だけで生を実感できるのか。
拓人は講演で、「愛と温もりに包まれていることは確かだ。だが、それだけで生を実感できるのだろうか」と語っていた。“承認されること”は満たされている。
しかしながら、ALSの進行が進むことによって自己の感じていること・考えていることを表現できなくなる。
思いを相手に伝わるように表現することは非常に高度なことである。
目の動き等でYES,NOの意思を伝えることはできても、相手に自分の想いを伝えることは困難だ。
私が言いたいのは、他者を承認し、相手がそれをその通りに受け取ることは非常に高度なコミュニケーションだということである。
“承認すること”(結果、相手が承認されたと感じること)がALSの進行により難しくなる。このとき、拓人は“他者から承認されている”が“自分が相手を承認できなくなるという状況に置かれる。


他者を承認できないという事態。この状況下における“生の実感”はどうなるのだろうか。

深く考える必要のあるテーマであると思う。